Vol.30 地図の読めないミャンマー人、通りを知らない日本人

ミャンマー人が使わないアプリ

「話を聞かない男、地図が読めない女」という本が、ベストセラーになったことがありました。何を隠そう、私も地図が読めない女の一人です。Google マップのナビ機能を使っても違う方向に歩いて行ってしまったり、何回か行った場所なのに毎回同じところで迷ったりと、地図を読んで目的地にたどり着く技術はかなり低い方だと自負しています。

ところが、ミャンマーにいると「私、意外と地図が読める方だったんだ!」と思ってしまうほど、ミャンマーには私以上に地図が読めない…というか、そもそも、地図の読み方自体を知らない人が多いように感じます。

自家用車がない我が家の移動手段は、主にタクシーなのですが、初めて行く場所をスマートフォンのGoogle マップで検索し、その画面をタクシードライバーに見せて「ここに行きたい」と伝えて理解してもらえる確率は5割くらいです。
分かってくれない5割のタクシードライバーのうち、地図を見せられた時点で「無理」と即座に立ち去るのが1割、Google マップが表示されたスマートフォンを上にしたり下にしたりして、なんとか読み取ろうと努力するも「やっぱり分からないから無理」となる人が2割、「よし分かった!」と言って意気揚々と出発し、明後日の方向へ走り出してしまう人が2割、といったところでしょうか。

3年前、ミャンマーに来た当初に比べると、Google マップを見せて理解してもらえる割合は増えた気がしますが、それでもまだまだ地図が読めない人が多いと感じています。

ミャンマーのタクシー攻略法

さて、このタクシードライバー達は、地図が読めないだけで、決して道を知らない訳ではないのです。

彼らは、道の名前と、その道が交差するポイントはよく知っています。また、目印となるような建物も知っています。そのため、確実に理解してもらうためには、地図を見せるのではなく口頭で説明するのが早いのです。

「××通りと、△△通りの角までお願いします」と、一番目的地に近い交差点を指定して、そこから誘導したり、「ジャンクションスクエアの近く」と伝えて、近くまでたどり着いた後に、こちらがGoogle マップを見ながら「そこを右、そのあと左」と道を教えたりするのが確実です。

また、レストランなどの場合は、ショップカードをもらっておくようにしています。乗車時に、そのショップカードを見せれば、タクシードライバーが車の窓を開けて近所の人に場所を聞いたり、店に電話したりして、どうにかたどり着くことが出来るからです。

それでも、こっちが近道だから!と混んだわき道をあえて選んで時間がかかったり、渋滞の中センターラインを超えて逆走しそうになるのを必死で止めたり、「子供が乗っているからゆっくり走って!」と叫んだり、乗っている間はこちらも色々と忙しいのです。
乗れば自動的にたどり着くものだと油断せず、ドライバーと一緒にがんばるぞ!という気概を持って、毎回タクシーに乗り込んでいます。

Uber革命

タクシーでの移動も、雨季の間は憂鬱になります。我が家は、大通りから奥に入った場所にあるため、タクシーを捕まえるには、雨の中、川のように水があふれている道を歩いて大通りに出なくてはならないからです。

そんな中、革命的な変化がありました!配車サービスのUberがミャンマーでも使えるようになったのです。スマートフォンのUberアプリで、目的地を指定し、迎車場所を指定すれば、自宅のコンドミニアムの駐車場まで車が迎えに来てくれるのです!雨に濡れなくて済むし、支払いはクレジットカードで出来るし、料金は距離と時間で自動的に計算されるしと、一気にタクシー利用が便利になりました。
(ミャンマーのタクシーは、メーターがないため、一般的に料金は乗るときに毎回交渉します)

しかし、ここにも落とし穴がありました。Uberでは、ドライバーに対して、スマートフォンの地図上で迎車場所と、目的地までのルートを教えてくれますが、この地図が読めないドライバーが一定数いるのです。

Uberでは、依頼した車がどこを走っているか、アプリ上で確認することができます。車の動きを見ていると、まず、かなりの確率で迎車場所が分からず迷っています。

逆の方向へ走って遠ざかって行ったり、近所をぐるぐる回っていたりするので、こちらから電話したり、メッセージを送ったりして、なんとかコンドミニアムまで迎えに来てもらいます。
そういう人は、だいたい地図を読めていないので、乗り込んだ後も、「で、どこに行くの?」と聞いてきたりするのです。そんな時は「Uberを見て」と言っても分かってもらえないので、改めて説明します。

ある時は、目的地に近いとある銀行の支店をUberで指定したところ、「その銀行ならあそこにもあるだろ?あそこでいいよな!」と近所の別の支店に連れて行かれそうになりました。「違う違う、指定した支店に行きたいんだ」と伝えても、地図が読めていないようです。結局、ドライバーが近くの支店で、目的地の支店までの行き方を聞いて、なんとかたどり着くことが出来ました。

Uber革命のインパクトはかなりのものですが、まだまだタクシードライバー側のリテラシーが追いついていないようです。

先日、日本でタクシーに乗った時のこと。
品川駅から、「ミャンマー大使館までお願いします」と伝えると、地図を見せろと言われることもなく、道はどこだと聞かれることもなく「かしこまりました」とスーッとタクシーが発車し、最短ルートで、大使館の門の手前までたどり着いた事に感動してしまいました。日本で生活していたら当たり前のことなのですが、ミャンマーで日々ドライバーと一緒に頑張っていると、だまっていてもたどり着けるという事実が、なんだか輝いて見えたのです。あまりにもスムーズすぎて、ドライバーさんの顔に注目するタイミングさえもありませんでした。
ミャンマータクシーの場合、顔を見て会話したり、ドライバーの運転能力や道を把握しているか探ったりしながらの道中です。初めての場所にたどり着いた時は、一緒に頑張ったー!と戦友のような気持ちにすらなります。

日本のスマートなタクシードライバーに感動しつつ、ミャンマーのタクシードライバーの一緒に頑張る感じも、また楽しいかもしれないな、と思ってしまう私。確実にミャンマー化が進んでいるようです。